商売5
「今年もさっぱりでしたね。兄貴ぃ」
「ボケ! ワレがドジばっかり踏みよるからやろが!」
「そんなことゆわれたかて・・・」
「見てみぃ! ショボいことゆうとるから・・・」
「雪・・・でっか。どうりで冷え込んできたはずでんな。うう寒ぶ」
「ター公・・・ワレ、今いくらもっとる?」
「金でっか?」
「・・・もうええ! 小銭ジャラジャラいわすな! ビンボ臭い!」
「兄貴は持ってはるんでっか?」
「・・・・」
「今晩、どこぞ泊まるアテあるんでっか?」
「・・・・」
「・・・わしらも・・・とうとうホームレスでっか」
「・・・・」
「あーーあ、これがみーんな金やったら・・・」
「ボケ! 雪が金に変わるはずないやろが!」
「そうでんなぁ。金が空から降ってきたらワシらこんな苦労『ちょっと待てよ・・・」
「どないしたんでっか? 兄貴」
「・・・金が降ってくる場所がひとつだけある」
「んなアホな」
「アホはお前じゃ!」
「すんまへん。そやけど・・・マジでゆうてはるんでっか? 金が降ってくるやなんて」
「ター公・・・ワレ、前々から金にうずもれて眠ってみたいゆうてたな?」
「そらぁ誰かて『そやったら我慢できるな? 多少窮屈でも、痛ぅても」
「え?・・・」
「よっしゃ! その願い、叶えたろ!!」
明治神宮。
拝殿前の巨大な賽銭箱。
その中から、一人の意識不明のヘルメット男が救出されたのは、新年も三日を過ぎた頃だった。
小銭を目にするなり、男が半狂乱になって病院から逃走したのは、意識を取り戻した翌日だったそうな。
ター公と兄貴。
不屈のコンビの奮闘は続く・・・来年も。