ボクは将軍様3



 「正体分かった? あいつの」

 「いえ。さすがに口が堅くて」

 「やっぱKCIAかNSAの特殊工作員かな」

 「は。しかし本人は日本人だと」

 「日本人?」

 「は。バイトでひまわり幼稚園の保父さんをやっていたと言い張ってます」

 「さすが単身で送り込まれるだけあって訓練されてるよね」

 「でも、もっとましなウソつけばいいのにね」

 「特殊部隊の精鋭で固めたボクの護衛が素手で13人も瞬殺されたんだよ」

 「あの時運良く替え玉がいなかったら僕の頭も一撃で粉々にされていたかもしれないよ」

 「あの平和ボケのユルい国にそんな凄腕の工作員なんかいるわけないのにね」

 「それにどうしてボクの秘密の邸宅の正確な見取り図まで持ってるの?」

 「そんなこと出来るのは南かアメリカに決まってるでしょ!」

 「は! まことにもって!」

 「いずれにしろやってくれたよね。ボクを暗殺しようだなんて。ホントいい度胸してるよね」

 「は。まことにもって・・・」

 「やっぱアメリカじゃないかな」

 「こないだの六カ国協議の決裂で業を煮やしたブッシュがぶちギレて極秘指令を出した。そうとしか考えられないよね」

 「失敗したら日本にぜんぶおっかぶせて自分は知らぬ存ぜぬを決め込むつもりだったんだよ」

 「なるほど、まことにもって・・・」

 「フセインのふにゃチン処刑してまた調子に乗ってるよねあの糞ブッシュ。選挙では大敗したくせにね」

 「は! 糞ブッシュはお調子者の野グソ野郎でございます!」

 「でもま、ふにゃチンの最期はあんなモンだよね」

 「ボクみたいにいつもテポドンびんびんにおっ立ておかないからああなっちゃうんだよね」

 「は、まことにもって」

 「でも仕返しにテポドンぶち込むわけにもいかないもんね。相手がアメリカじゃ」

 「100倍になって返ってきちゃうもんね」

 「は、まことにもって」

 「で、どうすればいいと思う? 副書記長」

 「は・・・偽ドルと麻薬を二倍に増産してアメリカに集中的にばら撒くとか」

 「バカだね君も。みすみす糞ブッシュに武力行使の口実を与えるようなもんでしょ!」

 「あんまりバカこと言ってると君も処分しちゃうよ」

 「は!! 申し訳ありませんでした!」

 「あいつ使えないかな?」

 「は?・・・」

 「あの工作員だよ。ひまわり幼稚園とかほざいてる。まだ殺してないでしょ?」

 「は」

 「逆洗脳できないかな。あれほどの凄腕なら警戒厳重な大統領でも・・・当然向うも油断するだろうし」

 「なるほど!」

 「もし失敗しても先に仕掛けたのはアメリカだと公表すれば・・・ね」

 「なるほど! でございます」

 「ではさっそく逆洗脳を」

 「ま、無理だろうけどね」

 「は?」

 「あれほどの凄腕の筋金入りがそう易々と寝返るとも思えないけど・・・ま、いちおうやってみてよ」

 「は!! 全身全霊を傾けまして」

 「あ、拷問や金や待遇でも動かなかったらボクの"喜び組"使っていいから」

 「は!! かしこまりました!」

 「それでも無理だったら殺していいよ」

 「でも殺す前にボクのとこ連れてきてよね。ボク自ら説得してみるから」

 「ははぁ!!」

 「もう一度顔見ておきたいし。この金正日を恐怖でションベンちびらせた男の顔をね」

 「は・・・」

 「あ。今の聞いちゃった? 副書記長」

 「うっかり口が滑っちゃったよボク。ジョンベンちびったこと」

 「あ・・・」

 「でも聞いちゃったよねしっかりと。副書記長」

 「あ・・・ああ・・・」

 「ごめんね副書記長。偉大なる将軍様はどんな時でもションベンなんかちびらないことになってるから」

 「そ・・・その・・・わ・・・わたくしは・・・」

 「副々書記長!!」