商売13



 「かぁーーーっ!!」

 「なにイキってんのやター公」

 「イキりまんがな兄貴、5万人から800億でっせ!」

 「あああの円天か」

 「なんであんなアホみたいな話にウハウハひっかかりよるんですかねぇ」

 「ワシらのささやかな儲け話には鼻も引っ掛けんおばちゃん連中が」

 「まずはスケールのちがいやろな。たぶん」

 「スケールでっか。確かに会長の波たらゆうクソガキは世界中の金かき集めるゆうて豪語してたらしいでんな」

 「そや。そこまで大風呂敷カマされるとセコいおばちゃんの警戒センサーも一時的に麻痺してしまうんや」

 「ふだんスーパーで1円単位の攻防しとるセンサーには負荷がかかりすぎて煙しか出てこんゆう訳や」  

 「はぁーーなるほどねぇ」

 「その上で、なんやよう分からんけどこれはええでとおばちゃんのセコい欲にダイレクトに訴求したんやな」

 「人の欲に付け込むのが詐欺の基本やさけの。そのためにはいかに警戒心を解いて思考停止させるかや」

 「ほんで思考停止させるには訳のわからんもんで煙に巻くのが一番、それが円天なんや」

 「そんなもんでっか」

 「そや。しょうみ携帯電話やパソコン考えてみぃ」

 「その仕組みや理屈が分かった上で使うてるおばちゃんなんか一人もおらんやろが」

 「確かに」

 「なんやよう分からんけどみんな使うてるし便利やし・・・しょうみそれだけやろが」

 「確かにそうでんな」

 「逆にそう思わせたらもうモロたようなもんや。あとはカモがカモを呼ぶゴールデン連鎖の始まりや」

 「少しばかり美味しい思いさせておばちゃん連中の強力無比な口コミ網を最大限に利用するだけや」

 「おばちゃんの弱い演歌歌手とタレントのおまけまで付けて?」

 「そや。そこんとこのプロセスとつぼをよう心得とるで波会長は」

 「せやけど兄貴、悔しないんでっか? ワシらの取り分ごっそり持ってかれたようなもんでんがな」

 「実はなター公、ワシも似たような新手の詐欺考えとったんや」

 「ほんまでっか!?」

 「そや。仮想通貨でっちあげるとこまでそっくりやったんやけどな」

 「せやけどこれだけ騒がれたらもうあかん。もう目新しさより胡散臭さの方が定着してもうたさけの」

 「一足違いで先越されたんでっか? ますます腹たちまんなぁ」

 「いっそ波のクソガキ襲うて有り金残らず『ドアホッ!!」

 「ワシらまっとうな詐欺師や。暴力に訴えたらあかん。あくまでココ(頭を指差しながら)で勝負するんや」

 「すんまへん兄貴。そうでした」

 「わかったら早よ会員リスト手に入れてこんかい」

 「会員リストって・・・円天のですか」

 「決まるっとるやないけ。創価学会の会員リスト手に入れてどないするんや」

 「せやけど円天の会員リストでどないするんです?」

 「ダボッ! 詐欺の基本をもう忘れたんか。詐欺の基本は人の欲と弱みや」

 「今の円天会員はその二つを併せもっとるワシらの上得意やないけ」

 「つぅと円天にむしられたカモからさらにむしり取ろうってんでっか? えぐいでんなぁ兄貴も」

 「ボケッ! そんなねむたいこと言うてるからいつまでたっても皮かむりのままなんじゃワレは!」





 その後、円天会員数百人の元に被害救済を訴えるダイレクトメールが届けられた。
 円天被害者団体結成の出資金を募る内容であったが当局は悪質な被害者詐欺として全国に注意を呼びかけたのは言うまでもない。