ボクは将軍様7
「テレビ見た? 中国も大変だねぇ」
「は?」
「オリンピックに混入毒物輸出、おまけにチベットで暴動だもんね」
「は。まことにもって」
「何人ぐらい殺したと思う」
「は?」
「チベットの暴動を鎮圧するのにさ」
「は。確か国営テレビの公式報道では・・・」
「バカだね君も。あんなの信じてるの?」
「ボクらだって何千人処刑しようがまるで知らん振りしてるでしょ!?」
「は。確かに」
「まぁ二千人は下らないだろうね。ボクの見るところ」
「天安門の時みたく戦車で轢き潰したのかなやっぱり。クソ坊主どもを残らずさぁ」
「はぁ」
「見たかったよね。ここじゃ暴動も何も起こらないから退屈で退屈で・・・」
「はぁ・・・」
「でもボク少し安心しちゃった。お隣の中国も結局はボクらと同じなんだってね」
「は?」
「オリンピックとか言っても結局は戦車が出てきてみんな轢き潰しちゃう国なんだよね」
「は・・・まことにもって・・・」
「だったらここでも出来るよね。オリンピック」
「は?」
「オリンピックできない? ピョンヤンで」
「そ・・・」
「一度でいいから開会式宣言してみたいんだよねボク」
「あのヒットラーもベルリンでやったんだからボクにだってさぁ」
「今なら世界同時生中継だし放送権料もがっぽり」
「景気づけにテポドン何発も花火みたいに打ち上げてさぁ」
「それは・・・」
「無理? ひょっとして無理って言いたいの?」
「・・・・」
「ボクに何か言う時は気をつけてね。下手すると君の首が胴から取れちゃうから」
「そ・・・」
「どうなの書記長!」
「そ・・・あ・・・か・・・」
「ギャハハハッ!! ビビッた? マジで今ションベンちびったでしょ書記長」
「・・・・」
「分かってるよ。ちょっとからかってみただけさ」
「そんな金どこにもないもんね。分かってるって」
「ボクの国がどんなに貧乏か生中継しちゃうだけだもんね」
「はぁ・・・」
「で・・・そのお金の工面のことなんだけど」
「南で新しく大統領になったイ・ミョンバクが経済援助を中止しそうな感じじゃない? 生意気にも」
「は。確かにそのような・・・」
「ボクを敵に回すとどうなるか分かってないようだよね」
「は。まことにもって」
「で、どうするつもり? 書記長」
「は。ただいま中央通信社と国営放送で大々的な対南キャンペーンを・・・」
「クソミソに言わせてる? あの居丈高な女性アナウンサーに、ミョンバクがどんなにアホなクソちびりか」
「は。もちろん最大級の非難である"逆徒"の名を冠して徹底的に」
「そ。・・・でもホントやんなっちゃうよね」
「やっとあのクソブッシュが任期切れでいなくなるとおもったら今度はクソミョンバクだもんね」
「まことにもってイ・ミョンバクは大馬鹿者のクソちびり野郎でございます」
「でもさぁ、考えてみると議会制民主主義も大変だよね」
「は?」
「選挙のたびにコロコロ指導者が変わってさぁ。タヌキの金玉みたいに」
「は。まことにもって」
「その点ここは絶対不変だよね。なんてったってボクしかいないんだから」
「は。まことにもって」
「結局は一人独裁が民主主義の究極の理想形なんだよね。そう思わない?」
「日本みたくバカみたいな国会開いたって結局は何も決められないみたいだしぃ」
「は。まことにもって」
「早くみんな分かってくれるといいんだけどね。ボクの国のすばらしさを」
「は。まことにもって」
「そしたらいつかピョンヤンオリンピックも夢じゃなくなるよね」
「は。まことにもって」
「夢か・・・今夜はいつになく"喜び組"も遠ざけて童心に帰りたい気分だね」
「は?」
「もう寝るから。帰っていいよ」
「は。おやすみなさいませ」
「あ、そうそう。今夜のDVDはディズニーの"白雪姫"がいいな」
「は」
「手配しといてね。もちろんブルーレイで」