ボクは将軍様8
「拉致問題の再調査、約束した?」
「は。ご指示通りに」
「で、成果は?」
「は。その見返りとして日本は我が国に対する制裁措置の一部解除を『金は?」
「は?」
「金だよ金! 経済援助!」
「は。残念ながら現時点では・・・」
「え? 一銭もよこさないの? マジで?」
「は・・・残念ながら」
「ちぇっ! しけてるよね」
「は。まことにもって」
「ホント恩義を知らない国だよねあの国は。こっちがこれほど誠意見せてるのにね」
「は。まことにもって・・・ところで約束した再調査の件ですが・・・」
「ナニ言ってるの書記長」
「は?」
「何年僕の側近やってるの? 頭どうかしちゃったの?」
「あんなの口先だけに決まってるでしょ! やっぱり何も得られませんでしたでおしまい!」
「ははぁ!」
「・・・でもそれじゃ、結局金取れないで終わっちゃうよね」
「じゃこうしようか。再調査の結果、有力な手がかりが得られたのでさらに再々調査を進めると」
「そこまで誠意を見せればきっと金取れるよ」
「は」
「で、再々調査の結果、さらに有力な手がかりが得られたのでさらに再々再調査を進めると」
「ね。そこでまた誠意見せて金取ってと・・・これが延々と続くわけ」
「で結局、とことんコケにされてると日本が気づく頃には、あの小うるさい拉致家族のジジババ連中もあらかたくたばって拉致問題も自然消滅しちゃってるわけ。どう?」
「は・・・まことにもって」
「その頃には、あのクソブッシュも任期切れでお払い箱だから、後釜のオバマあたりをうまい具合にたらしこめばテロ支援国家の指定解除もあっさり叶っちゃってるわけ。どーよこれ」
「は・・・まことにもって」
「天才だよね。我ながら」
「は・・・まことにもって」
「でもホント、めんどくさい話だよね。まったくさぁ」
「いっそ中東や南米の麻薬密売組織みたくおおっぴらに人質何人って公表できれば話は早いんだけどね」
「は・・・まことにもって」
「いっそのこと全部公表しちゃう? 書記長」
「は?」
「だからさぁ、全部で5538人ですって。全員の氏名と一人当たりの身代金の額も付けておおっぴらにさぁ」
「そ・・・」
「そうすれば、こんな回りくどい芝居打たないでもあっさり金取れるんじゃない?」
「仮に一人当たり10万ドルとして総額・・・5億5380万ドル・・・うひゃあ!!」
「そ・・・それは・・・」
「え? なに? できないって言うの?」
「・・・・」
「もしかして反対? ひょっとしてボクの提案に反対?」
「いや・・・その・・・」
「ボクに反対するときは気をつけたほうがいいよ」
「反対する前に、どっかいなくなっちゃう人が多いって言うよ」
「そ・・・」
「どうなの書記長!!」
「そ・・・あ・・・か・・・」
「ギャハハハッ!! ビビッた? マジで今パンツ汚したでしょ書記長」
「・・・・」
「分かってるよ。またちょっとからかってみただけさ」
「かりにも一国の元首。中東や南米のゴロツキ連中の真似なんかできないさ。わかってるって」
「はぁ・・・」
「ところでテレビ見た? またまた中国も大変だねぇ」
「は?」
「あの大地震だよ」
「は・・・まことにもって・・・」
「アレ見てボク、マジで夢にうなされちゃった。ここでも同じ事が起きるんじゃないかって」
「は・・・まことにもって・・・」
「でさぁ、つい神様にお祈りしちゃったよ。ボクらしくもなく」
「どうかここでも同じ事が起きますようにって」
「・・・は?」
「そしたら全世界から援助物資や支援金が集まって一気に潤っちゃうよボクら」
「・・・・」
「でもこればっかりは無理だよね。なんてったって天災だもんね」
「天才のボクにも天災ばかりは無理だってか? ギャハハハ!!」
「・・・・」
「あれ? 面白くなかった?」
「ア・・・ハハハ・・・ハハハハ・・・」
「なにそれ。顔、引きつってるよ」
「・・・・」
「もう帰っていいよ書記長。鈍いの相手してるとほんとムカついてきちゃうから」
「ははぁ!」
「それから今夜のDVDはチャップリンにしてね」
「それもトーキーじゃなくサイレントの頃のがいいな」
「あの問答無用の爆笑で気分直ししないとね」
「あ、キートンかマルクス兄弟でもいいよ」