肛門くん5



 いつものコンビニ前。
 例によってサル、カニ、茶釜がウンコ座りで所在無げにたむろしています。

 サル 「実際いなくなってみると・・・」

 カニ 「ちょっと寂しいよね」

 茶釜 「いつも何かおごってくれたしね」

 *(肛門)くんの葬式から三ヶ月。
 ガラにもなくしんみりと思い出にふける三人組でした。

 サル 「・・・いいやつだったよな」

 カニ 「いいやつだったよね」

 茶釜 「もう誰もおごってくれないのかな」

 いきなりサルが茶釜につかみかかります。

 サル 「さっきからてめぇは!」

 茶釜 「な、なにすんだよ!」

 サル 「おごってくれりゃ誰でもいいのかよ!!」

 カニ 「やめなよ二人とも!」

 そんなごたごたの中、目の前にすっとバニラアイスが差し出されます。

 「みんな食べて。あたしのおごりよ」

 ふと見ると小さな女の子がニコニコと笑いかけています。

 サル 「君は・・・」

 カニ 「確か・・・」

 茶釜 「あの時の・・・」

 そう。葬式の時出合った*くんの忘れ形見、あの女の子ではではありませんか。

 「さぁさ、遠慮しないで」

 苦笑いを浮かべながらも、ついアイスを受け取ってしまう三人組でした。    

 サル 「悪いな・・・」

 カニ 「ありがとう」

 茶釜 「サンキュー!!」

 「その代わり、いろいろ聞きたいことがあるの。パパのこと」

 サル 「え?・・・」

 カニ 「*のこと?」

 茶釜 「どうして?」

 「あたし・・・パパのことほとんど何も知らないの」

 「ママが会わせてくれなかったし。手紙もみんなママが・・・」

 サル 「・・・」

 カニ 「・・・・」

 茶釜 「・・・・・」

 「ねぇ・・・パパってどんな人だったの?」

 それを聞いてアイスをしゃくりながらも顔を見合わせる三人組。

 サル "どんな人って・・・"「いいやつだったよ」

 カニ "人じゃなくて*だけど・・・"「ホントいいやつ」

 茶釜 "大物ぶってたけど・・・" 「みんなに親切だったよね」

 サル "多少ずれてたけど・・・"「頭よかったし」

 カニ "かなりスカしてたけど・・・"「おしゃれだったし」

 茶釜 "友達いなかったみたいだけど・・・"「人望も厚かったね」

 それを聞いてニコッと笑う女の子。
 それから急にはにかむように目を伏せて

 「あたしのこと・・・何か言ってた?」  

 サル 「あ。君の写真見せて自慢してたよ」

 カニ 「そうそう。真っ赤なリボンしてるやつ」

 茶釜 「そうそう。どうだ可愛いだろうってね」

 「ホント!?」

 ぱあっと顔を輝かせる女の子。
 そこへキキィーと大きな車が止まります。
 コンビニ駐車場にはおよそ場違いなリムジンから降りてきたのは

 「レイラちゃん!!」

 あの未亡人でした。

 「そんなところで何してるの!!」

 目が釣りあがっています。

 「はやく乗りなさい!! 先生を待たせてどうするの!!」

 三人組にぺこりと頭を下げるやタタタと駆けて車に乗り込む女の子。
 そのままブブーッとリムジンに乗って行ってしまいます。
 アイスを手にしたまま、またも顔を見合わせる三人組。

 サル 「あの子・・・レイラって言うのか」

 カニ 「スカしてるよね」

 茶釜 「*らしいよね」

 サル 「でも・・・いい子だよな」

 カニ 「うん。素直だし」

 茶釜 「*だけどね」

 サル 「でもあの女・・・こっち睨んでたよな」

 カニ 「ホントやな女だよね」

 茶釜 「*だしね」

 サル 「あんな不良と付き合っちゃダメとか言われてんだろうな今ごろ」

 カニ 「遺産も独り占めされちゃったし」

 茶釜 「*のくせにリムジン乗ってたし」

 そしてめいめいがまたも物思いにふける三人組でした。